未成年者のNHK受信契約は取り消せます

ある日突然、玄関先にやってくるNHKの訪問員。
その評判は決していいものではありません。
ネット上からも「テレビ無いって言ってるのにしつこい」「夜遅くに何回もピンポン鳴らしてくる」「ずっと玄関の前にいる」など、その強引で常識外れなやり方に不満の声が聞かれます。
そのうえ「未契約は法律違反です」「裁判で訴えます」と脅され、十分な説明も受けないまま無理矢理契約させられるケースも後を絶ちません。
そして春に急増するのが

未成年者がよくわからないまま契約させられるケース

です。
春は新社会人になる方や大学生になる方などが、新生活と共に一人暮らしを始めます。
そこを狙ったハイエナのようなNHKの訪問員による、強引な契約事例が後を絶ちません。
そこで今回は「初心者にも分かるNHK集金人対応マニュアル」として

親の同意無く結ばれた未成年者のNHK受信契約は取り消せます

について解説したいと思います。
 
■受信機があればNHKとの契約は必要
まずNHKと契約が必要になる条件をおさらいしましょう。
放送法64条で

NHKの放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない

と定められています。
そしてこの契約は世帯ごとの契約が必要と放送受信規約2条で定められています。
「世帯」の定義は「住居および生計をともにする者の集まりまたは独立して住居もしくは生計を維持する単身者」とされていますので

一人暮らしを始めた未成年者もテレビなどの受信機があれば契約の対象

となります。

■未成年者の契約行為は親の同意が必要
しかし、いくら契約の対象であるといっても、未成年者の契約には条件があります。
それは

契約の際は親の同意が必要

という条件です。
民法第5条1項で

未成年者にとって不利益とならない行為以外の法律行為(契約など)は親などの法定代理人の同意を得なければならない

と定められています。

民法第5条
①未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。
②前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。
③第1項の規定にかかわらず、法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内において、未成年者が自由に処分することができる。目的を定めないで処分を許した財産を処分するときも、同様とする。

もちろんNHKの契約も法律行為です。
当然親の同意が必要となります。
また民法第5条2項では

親の同意なく結ばれた契約は取り消すことができる

としています。
ですので、もし未成年者が親の同意なく無理矢理契約を結ばされた場合は契約の取消が可能なのです。


■NHKのロジックはめちゃくちゃです
この「親の同意のない未成年者の契約は有効か」をNHKに問い合わせると

民法第5条第3項により親の同意のない未成年者との契約は有効

という回答が返ってきます。
でもこのNHKのロジックはめちゃくちゃです。
民法第5条第3項の原文は

第1項の規定にかかわらず、法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内において、未成年者が自由に処分することができる。目的を定めないで処分を許した財産を処分するときも、同様とする。

となっています。
簡単に言うと

未成年者でも「親がお小遣いとしいて渡したお金」や「自分で稼いだバイト代」などを使うことに親の同意は不要

です。
この条項がないと未成年者は買い物ひとつ自由に出来なくなるからです。
民法第5条の趣旨は「未成年者の保護」です。
ですので「民法第5条第3項があるから親の同意のない未成年者との契約は有効」という理屈はNHKの勝手な法の解釈でしかありません。
民法第5条第3項は

親の同意を得て契約を結んだなら、その先未成年者でも親の同意無く受信料の支払いをしてもいい

になるのであって、同意のない契約はOKとはならないのです。
出来るなら1項の意味が無くなりますし、法律のどこにも「未成年者の放送受信契約は民法第5条の対象外」とする法的文言も存在しません。

■契約を取り消そう
以上の事から親の同意のない未成年者の契約は取消を主張できます。
ここで勘違いしないでほしいのは「解約」ではなく「契約取り消し」を行うということです。
「解約」と「契約取り消し」は全く違います。
解約とは

契約の締結を認めるが、その契約を解消する事

です。
しかし契約取り消しは

契約自体最初からなかったことにする事

です。
ですので解約なら受信料の支払いは発生しますが、取消なら発生しません。
もしすでに受信料を支払った分があるのであれば、不当利得になりますのでNHKは返金しなくてはいけません。
民法第5条2項で契約の取り消しが認められているのですから、解約ではなく「契約取り消し」をしましょう。

■契約の取り消し方は?
じゃあどうやって契約取り消しをすればいいのか?
それは内容証明郵便をNHKに送ればいいのです

内容証明郵便で「契約の取り消し」をNHKに通告するのです。

内容証明郵便とは、送る郵便物の「内容・時期・送付元と送付先」につい、日本郵便が証明してくれる特別な郵送方法のことです。
この方法で送られた郵便の内容は法的に信頼できるものとして扱われるため、訴訟時などの証拠にもなります。
契約の取り消しは、NHKに認めてもらったり、お願いするものではありません。
民法第5条2項で認められた権利を行使するものです。
NHKが「契約取り消しは認めない」と言っても関係ありません。
NHKに内容証明が配達された時点で、法的に取り消しの意思表示が発効します。
それ以降、請求書が届こうが全てゴミ箱に捨ててしまって構いません。

文句があるなら裁判で争いましょう

それでいいのです。
大丈夫です。間違いなくNHKは訴えてきませんから。


■内容証明の書き方は?
内容証明郵便は、手書きでもパソコンで作成しても構いません。
また内容証明郵便用の用紙も販売されていますが、別に使わなくても構いません。
使う用紙に特に定めはありませんが、内容証明郵便は、全く同じ内容の文書を3通作成しないといけませんから、手書きの場合は市販の内容証明郵便作成用の用紙(3枚複写)を利用するか、パソコンで作成して「全く同じ」ものを3枚プリントアウトする方法が良いと思います。

内容証明郵便では、書式が決まっているので注意が必要です。
「1行20字以内、1枚26行以内」で書きましょう
※横書きの場合、1行13字以内、1枚40行以内、もしくは、1行26字以内、1枚20行以内でもOKです
これを守らないと受け付けてもらえません。
詳しくは「内容証明 書き方」などでググって頂ければと思います。

■内容証明の例文
内容証明の書き方がわかったら、実際に作成してみましょう。
このような感じで書けばOKです。

令和●年●月●日
〒●●●-●●●● ●●県●●市●●町●●←お住まいのNHK地方局の住所    
NHK●●放送局●●営業センター長 殿

親権者住所
親権者氏名


契約取り消し通知
令和●年●月●日に●●(契約した子供の名前と住所)と貴協会の委託業者(会社名と担当者名)を通じて締結した「NHK放送受信契約」は、契約者が未成年(●年●月●日生まれ)であるものの、民法第5条第1項本文に規定する法定代理人の同意を得ていない。
よって、同条第2項の規定に基づき、法定代理人(親権者の氏名)が当該契約を取り消しする。
これにより既に支払い済みの受信料については、本書到着後1週間以内に、下記の銀行口座宛に振込送金する方法にて返還する事。
なお、本件についての問い合わせは●●(親権者の住所)●●(親権者氏名)に文書で行う事。

○○銀行○○支店
口座の種類 普通預金
口座番号 ○○○○○
口座名義人 ○○○○○○
ふりがな ○○○○○○

以上

※行20字以内になるよう改行してください
受信料の支払いが無い場合は契約取消の通知だけでいいでしょう。

■今後の対応
内容証明を送るとNHKは前述したように「民法第5条第3項により親の同意のない未成年者との契約は有効」との主張をしてくるでしょう。
しかし、前述したようにこれはNHKの勝手な法解釈です。
ですので、その場合は以下の点を回答をNHKに求めてください。

NHKが法定代理人の同意のない未成年者の契約が有効であることの根拠とする民法第5条第3項の

第1項の規定にかかわらず、法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内において、未成年者が自由に処分することができる。目的を定めないで処分を許した財産を処分するときも、同様とする。

について

①法定代理人とは具体的に誰を指すと考えているのか?
②NHKが契約時に「法定代理人が目的を定めて処分を許した」ことを確認した日時とその方法の明示
③「財産を処分」に受信契約行為が該当するその法的根拠や客観的資料

つまり、NHKの主張は

受信契約は「法定代理人が目的を定めて、または目的を定めず処分を許した財産」に該当するから「未成年者が自由に処分(契約)することができる」

なのですから

①NHKが定義する法定代理人は具体的に誰なのか?
②「その法定代理人が契約を許した(処分を許した)」ことを確認しているはずなので、その確認した日時と方法
③そもそも契約行為が民法第5条第3項の「財産を処分」に該当すると言える客観的資料

に答えられる根拠があるはずです。
でも実際はNHKがそんな根拠をあるわけが無いので

「受信契約は放送法で定められておりますが、説明が不十分だったようですので今回の契約は一旦取消といたします」

と逃げる回答をしてくるでしょう。
本来なら徹底的に詰めてやりたいところですが、ハッキリ言って時間の無駄ですので、契約取消が出来たらそれで良しとしましょう。
もし取消を認めないなら、前述したように請求書を無視して支払いを絶対にしないことです。
NHKが訴えてくることはありません。
NHKは「絶対に勝てる相手」しか訴えてきませんから。

■今後の対応
今回契約が取消になっても、またNHKはやってきます。
その時は必ず「動画撮影」を行ってください。
前回の契約で民法を無視した契約を行ったのですから、また他の違法行為をする可能性を疑い、証拠保全目的の動画撮影するのは合理的な理由です。
NHKは「撮影する」と言われると帰っていきます。
なぜなら本当に他の違法行為をするからです。
その違法行為については過去記事をご覧ください。
過去記事
犯罪を繰り返すNHK訪問員をぶっ壊す!放送法第64条で学ぶNHKの違法行為編~初心者にも分かるNHK集金人対応マニュアル~

■最後に
私は何も「NHKと契約するな」とは言ってません。
「法に則って正しく契約をしなさい」と言っているのです。
未成年に対しては親の同意を得ればそれで済む話です。
他の業界はそれを守って営業を行っているのです。
なぜNHKだけは平気で法を破って、その指摘にも開き直れるのですか?という話です。
公共放送を名乗る放送局が、平気で法を無視する事がなぜ出来るのか全く理解出来ません。
このような行為を許さない為にも、泣き寝入りするべきではありません。
親の同意のない未成年者の受信契約はどんどん契約取消の通告をしましょう。